「アルゼンチンに移住するんです。」
その旅立ちの前に靴を購入したい。と相談してきてくれたのは須山さん。
町内に数年前に移住されてきた方で、サモサ屋さん。ご自宅に伺ったことはありませんが
古い家に住み、大きな畑を開墾して、とても豊かな場所をご家族で作り上げていたと周りから聞きました。

アルゼンチンへ行く理由や、なりゆきなどは聞くと納得のいく話でしたが
最初須山さんのことも何も知らないときに聞いたときは、なんて突拍子もないことを！と正直思いました。

当分は会えないことを考えて、
サイドゴアの革は、メンテナンスが楽なイタリアのオイルレザーをつかって
ステッチもダブルで縫い付け、底も普段よりも硬質なゴムを摩耗がはげしい部分に使いました。

背も高くて、足も長く、足の指も長いという特徴で
なかなか足に合う靴に出会えなかったらしいのですが
この靴はとても喜んでくれました。

靴を誂えることは難しいことじゃない。
まずはその人の悩みを一つ解決することをかんがえなさい。
足に合うというのは、履く人本人が感じ決めること。
足に合う靴ではなく、話をよく聞き悩みを解決する靴をつくりなさい。
先輩の言葉を思い出します。

明日、吉備を旅立つ。お元気で！