初雪/1月31日 百掌往来メモ5

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初雪。
岡山では観測を始めて最も遅い初雪。56年ぶりの更新。
地球温暖化は進行中のようです。

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先芯をつくる。今日一番熱中した仕事。

百掌往来 

先芯 技
先芯とは靴のつま先部分のカタチづくりに欠かせない芯材。

足を守り、指先の空間をのための容(かたち)。
それを崩さないように丈夫かつ柔軟性のある素材でつくる必要がある。
けっして劣化して割れてしまう樹脂系などを使ってはいけない。
革に拘ることを強く勧める。
革は割れたりはしないし、馴染みが良い。
なにより温かい。

靴の顔となる、姿形(かたち/シェイプ)。
靴の姿を決める木型。つま先の形は誰もがもっとも目にするところだろうと思う。
素晴らしく好みの顔をしている木型も、木型を履くわけではないから
靴にするために、その木型に中底をつけ、裏革をつり込み先芯を作り、さらに表革をつり込む。
そうやって足されていくなかで、その好みの顔は変容する。
1ミリ厚みが違うだけで、角を取るだけで、ちょっとしたことで
靴の完成形は変わってくる。実に面白い作業。

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初めて靴を作ったとき、
正直なことをここで初めて告白するが
一足の靴づくりに含まれる接着剤やシンナーなどの劇薬やクロムレザを使うことに
ものすごく嫌気がしていた。席が隣の女性はその関係で身体を壊し、靴づくりを断念し辞めてしまった。
僕は身体的に嫌だったこともあるが、
どうもその化学品と呼ばれるものに対して、シンパシーを感じることができないからだった。
自分でコントロールできそうもないモノを扱い、いっしょに暮らすことはできない。
今では水に流せる接着剤や体に優しい革を選べるようになり
そのストレスはだいぶ少なくなった。
すべて天然素材で作れたら、とても気持ちいいだろうなと思う。

それをちゃんと実行している靴屋さんもある。
ナチュラルシューストアで取り扱っているダックフィートがまさにそうらしい。
愛好家が多いことも頷ける。素晴らしい靴屋さんだと思う。
僕も少しでも近づけるよう努力したい。
これは誰のためでもない。自分のためだ。

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気持ちよさそうな雲だ流れていました。
風に運ばれてゆるやかに形を変えながら。