First Shoes for Baby/1月15日 百掌往来メモ1

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name: BABY
leather: goat natural and pig
sole: vibrum
other: french seam
size: 14cm (for 1~2 years old)

百掌往来

ファーストシューズ 芯

多聞がはじめて歩いた時の事を実は僕は覚えていない。
そういう確かな瞬間があったのだろうけど、覚えていない。
聞司はそろそろ歩きそうだなという予感があって
あとは恐怖心よりも好奇心が勝る瞬間が来れば、と待ち構えていたから
その瞬間はいまでも覚えている。僕らも余裕があったのだ。
多聞はその瞬間が明日なのか1年後なのか、もしかしたら来ないのか。
とにかく一寸先は闇みたいな道を慎重に歩んでいた僕らには
多聞が初めて歩いた日の事を素直に喜ぶことのできないのは当然の心境だったと思う。

それでも覚えていることもある。
ファーストシューズだ。
多聞が初めて履いた靴は、僕がつくったものではなく
靴下とゴム底がくっついたような作りの虹色模様の靴だった。
たしか11、5センチくらいだったと思う。
購入したのは宇都宮か笠間のショッピングモール。
多聞の歩行はまだまだ未熟な時だけど、つかまり立ちなども頑張っていた多聞に
とりあえず準備のつもりで購入した。
自分の靴と天秤にかけ、それをレジに持っていくまですさまじく葛藤した経験だった。
転んでもケガしない芝生の上を手を繋いで歩いて練習した靴。
それは今はもう手元にはないが、その鮮やかな記憶は残っている。

多聞に履いてもらいたくて、多聞がお腹にいる時から
僕ら手作りの13センチと14センチのファーストシューズはもちろん用意はしていた。
全く使わなかったわけではないが、それらはほとんど活躍することがなかった。
その靴が多聞にとって一番良い靴ではなかったから。
でも、代わりに選び購入したいろいろなメーカーの子供靴が正解だったかというと
それもまた自信はない。でも間違いなく事前に用意していた自分の手作り靴ではなかった。

靴は事前に用意できるものじゃない。
子育ても予測不能だった。
前述のとおり。一寸先は闇。というのが僕らの子育て1年目だった。
でもある時からその意識は反転した。
その転機は野口整体。
事前に学んでいたけれど、それだけでわかったつもりになっていて
学んだことを実際にこの身で使う機会だったのに、それになかなか気付けなかった。
生きた知恵は生きたこの身で使わなければ意味がない。

子どもは後ろから追ってくるものじゃない。
僕らが必死に追いかけるものだ。

多聞にようやく追いついた時は
多聞はもう3歳目前だった。
僕と多聞にとってのファーストシューズ「青のサイドゴア」
記念写真も残っている。