夜になる時を探して 多聞とサンダル/5月5日

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たっぷり子供たちと外で遊んだ一日でした。
夕方に家に帰ってきて、夕飯の前に子供たちとお風呂に入って
パジャマに着替えてスッキリ。

でもまだ外は明るい。

そこで多聞がこんなことを言いました。
「夜になるところをみてみたい。」
僕は面白いことを言うなぁと思って、
「それじゃあ、外に出て探してみようか。」と、提案。

いっしょにお散歩することにしました。

玄関で靴を履きます。
多聞が、僕がいつもコモンシューズをささっと履くのをみて
僕と同じ靴を履きたいと訴えるので
多聞のサイズに合うコモンシューズを箱から出してあげました。
凄く喜んでそれをささっと履いて外に出ていきます。

多聞は脳性麻痺の症状がほんの少しあるので
歩くことが少し不得意です。
だから、ぴったりの靴をつくったり、既成の運動靴にもピッタリのインソールをつくって
多聞が気持ちよく歩けるようにずっと心掛けてきました。

いままで、
ずっと靴のサポートが必要だったんです。

でもこの日、こどもの日
多聞は靴に頼らずに、自分の足で歩いていました。
どうしたら夜になるのか見てみたいと、言って散歩に出かけた10分間。
その目的をすっかり忘れて
夕方のきれいな空を眺めたり
タンポポの綿毛を摘んだり
カエルの鳴き声を真似しながら、
それはそれは心地よい散歩でした。

保育園の先生、理学療法士の先生や言語聴覚士の先生に
楽しくリハビリを指導してくださった成果があるのだと思います。
感謝の気持ちしかありません。
僕の靴の仕事もそんなふうに人を育てる仕事でありたいと思います。
多聞が僕の靴のサポートがなくても
一人で悠々と歩いていく後姿を想像しながら
明日からまた仕事を頑張ろうと思うのでした。