仁科さんからの質問3「ヒールが平らじゃないのはワザと?」/6月23日

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ヒールは木型(足型)の踵の大きさによりますが
直径3センチほどの円の面積しか接地させていません。

理由は3つ。
1,静的視点。女性のピンヒールシューズなどをイメージしてもらうとわかりやすいと思いますが
小さな踵に重心をとらえることで、姿勢が良くなります。

2,動的視点。舟底型にもなっていることから、歩行の時の摩耗箇所を狭い点ではなく広い面で引き受けることができ
滑らかな摩耗を実現します。良い消耗は靴の型崩れを防止します。

3,情緒の視点。数学者岡潔は「数学には情緒が必要」と言いましたが、言うまでもなくモノづくりには例外なく情緒は必要だと思います。
もともとこの視点が出発点となり、COMMONSHOESの底型は試行錯誤、紆余曲折、二転三転しながらこの形に落ち着きました。
前述の1と2は3からの後付けです。
靴はこうあるべきという固定観念から解放し、手と目、足と心の感動に素直になることが製作の秘訣なのかもしれません。

すべて結果論ですが。

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蒸し暑い午後でした。
上着を脱いで、タンクトップにエプロンして製作していたら
妻に「ポパイ」と言われ、子供に「下着、、」と言われ
やっぱり風情とデリカシーは必要だと感じた。
情緒なんて偉そうなことどの口が言っているのやら。

2023.6.23山のアトリエ