Special Shoes【TREASURE】/5月28日

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秘密基地での生活が始まり、最初の休日。
外で遊んでいた子供らに「お父さん来て~!」と呼ばれた。
なんか手伝いを頼まれるのかなと、渋々向かったら
「宝探し!これ地図ね!」と渡された。

いいね!秘密基地にぴったりの遊びだ!

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そして、ちょうど今日出来上がった靴【TREASURE】。
昨日、製作も大詰めを迎えていた時、閃いたのは【宝】そう【TREASURE】だった。

この靴は、石川昌浩さんからのご依頼で
「仕事中に履けるCOMMONをつくってほしい」というご依頼をうけて製作しました。
「このCOMMONoriginは、仕事場で使うには勿体ないなってどうしても思ってしまう」から
汚れても気にならない、ハードな場所でも気兼ねなく履ける靴はできないだろうか。という相談でした。

「汚れてもきにならない」というのは2つの意味がある。
ひとつは価格の面。高価な靴はより長く履きたいし、できるかぎり綺麗に使いたいと願うもの。
だから廉価であることを求められていると考えた。
もうひとつはデザインの面。見た目のデザインではなく、製作理念のデザイン。
消耗していくことが勿体ないと思うなら、
従来の靴づくりで見落としていた【勿体ないモノ】を掘りだすことができたら、
【勿体ない】は、消耗するネガティブな気持ちから生成するポジティブな気持ちに180度変わる。

石川さんと話して印象では、後者のほうが大きなウエイトを占めているだろうと思っていた。

最初に考えたのは、革の漉き残り革の利用だった。
一枚の革の厚みを均一にスライスカットすることで生じる裏面の薄革。
本来捨てられるモノの再利用という発想は良かったとおもうが
やっぱり本来の扱い方はない革の使用方法では、耐久性が悪く、見た目も微妙だった。
それもそのはず、しょせんは裏は裏なのだ。

そこで次に、革の端切れに目が留まった。
アッパーの裁断をどんなに無駄なくやろうとしても
小さな余りはたくさんうまれる。傷やムラのある部位も切り離される。
それらが勿体なくて捨てられない。
これまでは自分の鞄や革小物などに活用していたが、靴にするのは初めてだった。

いつもデザインには合理性とシンプルを意識してつくるけれど
今回は違った。

色は1色でも作れたけれど
3色使ったのは、僕の好みによるもの。意味はない。ただその方がカッコいいなと思って。
宝とは、自分の手で掘りだすもの。

ミシンも真っすぐ縫えばいいのだけど
クルクル回したのも、僕の好み。意味はない。ただその方がオモシロいなと思って。
宝とは、この世にひとつにしかないもの。

モノを創る喜びの新しい味を知った気がした。
宝とは、自分を輝かせるもの。

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name:TREASURE
leather:pieces of leather
shoebase:commonshoe
sole:natural rubber sole

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2022.5.28Special Shoes