予感/12月7日 百掌往来メモ

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「よし、一足完成。」と思いきや、左の本底が波打っている。
面取りしながらの仕上げの作業を忘れていた。
しかし、面取り前でも右のような綺麗なラインがでていて欲しいところ。
原因のひとつは、本底は、アウトソールを付ける前にトリミングを正確にしておくべきだが
今回は、それを省いてアウトソールを接着してからいっしょに削りだした。
これがまずかった。
包丁でトリミングするのと、グラインダーでするのとで
ここまで差が出るとは思いもしなかった。
グラインダーでの切削は、すでに決まっている形どおりにするには早いし綺麗だ。
でも一足ずつ手でつり込み、当然ムラやブレがある靴では、
その一足一足ずつ微妙な差が本底にも影響がでている。
それを見極めつつ、手元で本底の形をつくるのは、やはり包丁がベストだ。
グラインダーでは大雑把になる。

それはわかっていたことなのに
横着してグラインダーで仕上げることができると思った自分の技量への過信に反省。
でも、いつも以上に細部の仕上がりまで目が届くようになっていることは確かだ。
成長している。

失敗ができるというのは、それだけ挑戦させてもらえているということ。
支えてくれる使い手の方には感謝しかない。

数年前、ある有名なお店の方に小林さんの靴は、
「履き心地が良いけれど、でもそれだけしかない。それ以上の魅力がない。」
と酷評されたことを思い出した。

こんな中途半端な靴職人の靴を履いてくれる人がいる。
彼らはてのひらワークスになにを感じてくれているのだろう。
自分でいまそれに答えるとしたら
「良いものをつくってくれそうな予感がするから」

僕が僕に一番期待している。
良いものをつくれる予感にドキドキしている。
この予感は、年々高まってきている。