気持ち良い朝だった。
２時間たっぷり草刈りをして、全身汗でびっしょりになって
身体に溜まっていた毒が抜けた気がして、気分爽快だった。

この春から１０年近く放置されていた田んぼに手を入れている。
１反以上の面積があって、水も沸いている。土も粘土質で水を溜めやすい。
自給自足にはもってこいの田んぼだ。
５年前はお米づくりを心底楽しんで自給自足を目指していたけれど、
いまはそれが目的ではなく手段となった。
目的は風の谷をつくること。そんなに難しいことじゃないと思う。
３０年前には確かにあったものだから。
僕が１０歳の時にはあったものだから。
元に戻すだけのことだ。

コロナの前に戻りたいという人がいる。
２年前の元に戻そうとする人がいる。
僕はそこに戻りたくない。
戻れるとしたら、最低でも３０年前。
この谷に風と水が流れていたころに戻りたい。

この３０年間で、石油燃料のこれまでの全使用料の約半分を使い果たしたそうだ。
大量消費大量生産大量破棄は何も変わっていないのだろうか。

僕は逆行する。前向いたまま笑顔で後ろへ下がる。