師匠の金槌/4月27日

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仕事で使うのは2本の金づち。
上がドイツ製のステンレスハンマー。革を直接叩く時に使っている。
使用歴はおよそ10年。
下が師匠お手製のスチールハンマー。釘を打つ時に使っている。
使用歴は僕で15年。師匠はどのくらい使っていたかのか不詳。

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柄の部分が長年の使用で黒ずんでいる。
ステンレスの方の柄もツルツルとした触感だが
師匠の金槌はツルツル以上に滑らかで手が吸い付く。

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師匠の金槌を使うと、釘を打ち損じることがほとんどない。
それは長年僕が使って慣れているという理由もあるが
最大の理由は、純粋にこの金槌がとても優れているからだ。

師匠は道具にとても拘る人だった。
どんな道具も自分が使いやすいように全て手をかけた。
少しでも違和感があると、目の前の仕事を止めて、道具を手直しをした。
僕なら多少は我慢して、目の前の仕事を早く終えることを優先してしまう。
手道具も大道具も一から自作することも多かった。
そんな師匠が、何十年も柄がこんなになるまで振るい続けた金槌が優秀でないはずがない。

今では、この滑らかな柄でしかできない作業もある。
銀面をまったく傷付けることなく擦ることができる。

道具は使うものであると同時につくるもの。
つくりながら使うものであると、ここでも思う。

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