今年最後のお客様/12月28日 百掌往来メモ

百掌往来

グレーゾーン

今年最後に円城誂え靴製作所に足を運んでくれた方は、
少しだけ特徴的な足で、足に合う靴をこれまで経験したことがなく
病院で相談しても取り入ってもらえず、「靴屋さんに行った方がよい」と言われ
靴屋さんでも、「歩き方を直した方がよい」とか、「靴とはこういうものだ」といわれ
足に合わない靴を押し付けられてきたと、訥々と話してくれました。

そんな苦い経験をしてきて、靴屋に不信感を抱いているにも関わらず
その方がまだ足に合う靴があることを信じていることが、正直不思議でした。

でもそれは、なに不自由なく靴を履けることに慣れている人の反応で
足に合う靴がないことの、その日常を想像すれば、
すぐにそのとてつもないストレスに気付くことができたのでした。

でも実際、このようなケースは多いのではないだろうか。
これもいわゆるグレーゾーンだ。
一般の市場で自分に合う靴がなく
かといって、病院で処方も受けられるわけでもない。
頼りにしていたオーダーメイドシューズも
靴という既存の型に押し込められてしまう始末。

今年最後のご縁は、これから進むべき道を教えてくれているように思えた。

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多聞がつくってくれたお飾りはアトリエに。