聞司の上履き/5月29日
ノリランカ農園の田植えのお手伝いに行きました。
この谷にはいつも優しい風が流れています。
暑い日差しでも、その風が身体の熱を冷ましてくれます。
きっと田んぼの生物たちにとってもパラダイスに違いない。
言うまでもないことですが、自分の稲とは比べものにならないくらい逞しい稲。
でもここはまだスタート。秋の収穫までがまた大変です。
また勝手にお手伝いさせてもらおうと思っています。
お昼ご飯は郷土料理のさらわ茶漬けを頂きました。
その年の田植えがひと段落すると、これを食べるのが昔からの岡山の風習。
お茶漬けのダシがよくでるように、皮つきサワラが特徴。
田んぼ仕事を終え、それを眺め豊作を願いながら
漆椀に丁寧盛られたご馳走を頂く。
こういうひとつひとつの暮らしを大事にするノリランカ農園はとても素敵です。
帰り道の車中は疲れるどころか元気いっぱいでした。
きっとあそこはパワースポット。「龍の谷」と僕ら家族は勝手に呼んでいます。
聞司の上履き用に初めてここの靴を購入してみたのですが
甲が低い作りで、後足部がこのところよく育っている聞司の足は入りませんでした。
「入らないなぁ」と困り顔で靴を眺める聞司。
するとすぐにハサミを持ってきて、甲ゴムを切りはじめました。
「どこまで切れば入るかなぁ」と。
ちょうど装飾だと思いますが、甲ゴムにボーダーラインが2本あったので
「この線まで切ってっていうことなんだ。」と勝手に解釈。
結局すべてのゴムを切るとり、「これで履ける。」とシタリ顔。
でも今度は「脱げちゃうな。」とここで僕をちらり。
新しく聞司の足に合う大きさのゴムを付けるいいよ。とアドバイスをして
出来たのが写真の上靴。
縫い付けて仕上げたのは僕でしたが、聞司は靴の構造を学んだいい体験でした。
それにしても今回驚いたのは、躊躇うことなく靴を改良しようとする精神。
そこにあるものは、「完成したもの、動かしようのないもの」とは思っていなくて
ひとつの材料と捉えて「いつでも手を加えていく」態度は母親の血を濃く受け継いでいる気がします。
これから10年くらいは、色々な物事に聞司自身の頭で考え、手を加えて
なんでも壊してしまえばいいよ。聞司。
こちらもなるべく怒らないよう心構えをしておくよ。
今日僕はとても嬉しかった。