男の足/5月26日

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足の個性に合わせて
メンズでは主に3種類の木型からKIDを製作することができる。
特徴は共に甲が高い木型。

幅が広い男性は、ほとんど甲も高く踵も大きい。
幅が細い男性も、甲が高い人は多い。ただ踵が小さい。
このタイプの場合
大抵の靴では、まず甲が圧迫されるので、
紐靴で甲を緩めて履くことが多く、スリッポンやサイドゴアのような筒形は苦手。
数年前に、このようなお客様でサイドゴアのご注文を頂いたのですが
1度目の納品でも2度目の再作でも、納得いく靴をつくることができずに
結局つくることのできなかった苦い経験がある。

あれから僕も懲りずに失敗を重ねながら靴づくりの腕を磨いてきた。
そういうと聞こえはいいが、ただ転んでもただでは起きぬ精神で
泥臭く靴をつくってきただけだけど。

3種の木型で完成したとは思っていないが
今はそこそこ満足している。
次の世界へ進むため、峠のだんごやで一服している気分だ。

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こちらも新しい試み。
履く人を想いながら製作することで
最初は同じデザインの靴でも
途中自然と手が加わってくる。滑らかに製作が進む。
思考と手工のリンクが光の速さ。
単調作業とは違う意味で迷いがない。
その相手のことを深く信頼している自分に気付く。