詰め物/2月27日 百掌往来メモ10

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百姓往来 

中物 技

靴底の詰め物に使っているのは、革の切れ端。
アッパーをつり込んだ際に生じる段差を埋めるためです。

コルクを使うケースが多いのですが、その理由は段差を埋めることの他に、
履き込んでいくほどに足裏の凹凸を中底に作り出していけることが狙いだと
以前どこかの靴本で知りました。
コモンシューズ製法の場合は、中底にその性能を最初から持たせているので
履き始めから足に馴染むほうだと思います。
それでも人間の骨の約4分の1が集める足の細かな形状を
最初から作り出すことはできません。
やはり最終的には履き込むことで自分の足と一体化していくことが求められます。
良い靴の判断はその足への適応力。
硬すぎも柔らかすぎもダメです。その絶妙な加減をいつも考えて作っていますが
まだまだわかりません。
当然男性と女性でも違うから、答えは一つではなく人の数だけあるのでしょうが
だからといって諦めてはいません。きっと何か見つかるはずだと思っています。

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今日は小学校の授業参観でした。
数名のグループで前に出て発表することを事前に聞いていたので
昨日多聞に「準備はバッチリ?」と聞いたら、首を横に振って
「練習が足りない。5回しかしてない。もっと練習したい。」と教えてくれました。
「そうかそうか。10回くらいやりたかったな。」そこで多聞を助けられる明暗が思いつかず、
今日学校に送り出しました。

結果僕は見に行けなかったのですが
妻が言うには、グループの子に助けられながら。。

1度聞いて理解できる人と10回聞いて理解できる人。
どちらが優秀かと言えば、1回の人だろうけど
10回聞いて理解できる人は、10回考えるという優れた才能がある。
僕自身のことで言えば、僕はおそらく2,3回で理解できるくらいだと思うが
2,3回で理解できないと、思考が停止してしまうことが多かった。
10回もできないことを繰り返すなんて無理だったと思う。

発表の時、隣の子から「邪魔」と言われていたと聞いて
いよいよかと思いました。
8歳の子どもが、あるひとつの能力で優劣格付けをして
その価値基準の中で低能な人間を邪魔者扱いする社会。
こんなんじゃなかったはずだ。
邪魔物扱いするようなことなんてなかった。

3年生になったら、
少しずつ多聞を今の特別学級から交流学級へ移動させていこうと思っていた矢先。
すこしは覚悟していたけれど、
多聞自身が自ら傷つくことはあっても、他人に傷付けられる社会に向かわせることはできない。