SHOEBASE/2月3日節分 百掌往来メモ7

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今日の仕事。ShoeBase。

百掌往来 

SHOEBASE 芯 技 態

SHOEBASEを作る時、定規を使わない。木型に目盛はつけない。
木型のバランスに合わせて、足を想像し目分量で削り出すこと。
それにより一足ずつ少ーしずつ形が違うだろう。
注目しなければならないのは、隣のSHOEBASEではなく、目の前のSHOEBASE。
隣と少し形が違えど、納得できる綺麗な形をしているほうが重要だ。
そもそも天然皮革を素材として選んだ以上、同じ物を作ること自体不可能であり
革が違うのに、見た目だけを同じにすることは無意味。
同じ物をつくるのではなく、美しい物をつくろう。美しさは迷わない。
迷わずぶれないから、自ずとだいたい同じ形になる。
それでいて速い仕事ができる。速さは大事だ。

益子町の2012年土祭での
岡村美穂子さんのお話で、浜田庄司について僕の中に深く刻まれた話がある。
浜田が朝飯前の製作で、七十数個の湯飲みを見分けがつかないほど精確に製作されていたという話。
実際轆轤もまわしたこともない僕にはそれがどれほどすごいことなのかはわからないのだが
知っているものからすると、ものすごい速さで人間離れしているらしい。
迷いなく無心でなければできないことだと、岡村さんは説明してくれました。
無心の身体になることで、その神業は可能となる。
さらに岡村さんは華道や茶道などの「道」にも触れ、浜田庄司の作陶はその「道」だと教えてくれました。

このときに僕は「自分にもできるだろうか」と思った。
あれから、この話を時折思い出してはいたが
今日数年ぶり振り返ることができた。
そして、その間無我夢中で進んできた道は間違ってはいないと思えた。
今日の仕事を終えて満足している。

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