about Outsole vol.1/11月17日

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円城寺のサザンカ。見ごろです。

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今日の仕事は展示会販売靴の検品。

【アウトソールについて BASIC編】
靴を履いて歩くと、当たり前なんですが、その靴の歩き方になります。
ヒールの高い靴では歩き方が変わってしまうように、
地面に直に触れるアウトソールの影響はとても大きくて、その靴の履き心地の肝です。

コモンシューズ製法の靴のアウトソールの基本形は足型形状です。
ヒールのパーツはなく、フラットな底です。
ですが立位では地面にピタッと全面接地はせず、踵と踏み返しの2面でのみ接地させています。
それは不安定と思われるかもしれません。
僕も義肢装具製作に専従していた修行時代は、
テーブルに底にチョークの粉をつけて、その上に靴底を滑らせて、全面にチョークが付着することが鉄則でした。
それだけ狂いもなくフラットで地面に吸い付くような安定感が求められていましたし、
そうして安心して暮らせる方のサポートが仕事でした。

ですが、コモンシューズ製法は、何度もくどいかもしれませんが
子どものための靴づくりから始まったものです。
子どもが外で遊ぶところは、むしろ不安定な場所を好む。
そしてただ前に歩くという動作より、これもむしろ縦横無尽に四方八方に動き回る。
安定した靴は面白くないのだろうと、まず考えました。
でもただ不安定な靴をつくったら、それは本末転倒ですので
なるべく素足と同じ形状のままに留める。出来る限り手を付けない。加工しない。
そんなふうに作り上げたのが、この足型形状底です。

また素足に近い感覚をつくるため、ヒール高はゼロでも良いと思っていたのですが
そうすると、なんだか後ろに倒れてしまうような感覚がすることに気付きました。
これは動いていないエスカレーターを上り下りする時に感じる違和感に近い。
靴というのは、その歩く道具という構造があるゆえに、ある程度の推進力を付けてあげることが
【靴】というものに対する原則なのだと思いました。
そのため、外側からではわからないのですが、
SHOEBASE本体に1センチのコルクスポンジをつけヒール高1センチにしました。
これにより、
SHOEBASE本体の型崩れを防止することに加え
土ではなくアスファルトを歩く衝撃を緩和し、
ヒール1センチとなり、推進力も生み出すこともできるという、
この3つの大事な履物の要素を叶えることにできました。

でもこれは、あくまで基本形で、人によっては手を加えた方が良い場合も実際あります。
正しいカタチではなく、最初のカタチです。