僕の誂え靴の原点 Sさんの靴づくり/11月7日

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靴底の張り替えで久しぶりに帰ってきた神奈川Sさんの靴。
Sさんが初めて連絡をくれたのが、6年前の多聞が産まれるちょっと前でした。
震災からまだ3カ月くらいの、社会がまだ不安定な時期でした。
僕も自分の仕事に自信が持てなくて、なにかこの不安や恐怖に打ち勝てるものを
探していたと、今振り返ってみるとわかります。

その時、震災の経験から足に合った靴の必要性をつよく感じて
ここへ靴を探しにきてくれたのがSさんでした。

ある病気の障害で、麻痺がある足。
まっすぐに足を地面につけて立てないくらい変形もありましたが、
今まで自分が培ってきたものを全部出し切れば、きっとこの方に靴がつくれると確信しました。

過去の栄光にすがるようですが、工房にあるSさんの木型を見ると大事な気持ちを思い出します。

きっとこのSさんのように靴に困っている方は世の中にたくさんいるのに
僕はこの山奥でなにをしているんだろうって、とも考えてしまう。
来年から、この仕事につながる行動をおこそうと思います。