裏山の紅葉。
寮から帰ってきた多聞にほんの少しだけ遠慮がちになっている僕がいる。 多聞はいつも通り、ふざけて笑ったり、抱っこ―といって飛びついてくる。ほんと生まれた時から変わらず無邪気で温かい魂だ。 僕はもう怒らないぞ、と自分を抑え込んでいる。それはまったくの不自然そのものなんだけど、いまはそれでいいと思っている。 多聞のように優しく、聞司のように気を配り、恵子さんのように地に足付けて、生きていくんだ。 私という癌細胞、私の中の癌細胞、どこまで抑え込めるだろう。
修理の仕事。
2023.11.18| 修理の靴, 家族