夜２２時、そろそろ寝ようかと明かりを消した時
庭の方から獣の鳴き声が聞こえた。
最初は猫の喧嘩かなとおもったけれど、ちょっとボリュームが桁違い。
懐中電灯もって、外にでると、里山を震わす迫力で、
下の畑まで様子を見に行こうと思ったけれど、恐ろしくて足が進まない。

猪の縄張り争い。
これまで何度か猪と遭遇してきたが、歩いている姿に可愛らしさを感じても、恐ろしいと思ったことはなかった。
だから猪に襲われたという話を聞いても、俺なら抵抗できると、根拠のない自信を持っていた。

今夜、それは覆った。あれは無理。

見上げると、数えきれないほどの星が輝いていた。
空にはこんなに美しい星、下には身も震える猛獣の争い。
人はただただ、立ち尽くすのみ。