優しく包むようにつり込む/7月8日 百掌往来メモ

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これまで力技の一辺倒でつり込みをしてきたが
今回は立体縫製でつり込みをアシストする方法に挑戦した。

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目的は「優しく包む」つり込みをすること。

従来のつり込みは、型通りにしっかりと癖付をする。
成型後は形が変わらないようにすることが鉄則。

しかし今回は、
革を伸ばしたり叩いたりせず、つり込みで固め過ぎることなく
靴を使いながら履きながらその形が変化できる余地を残したかった。

この靴はフレームビルダーという自転車職人さんの仕事靴。
全身をつかうその仕事は、もちろん足の先もよく働く。
足は歩くだけじゃないことを、職人さんの姿から教わる。

安全靴のように、しっかり固めて大きなスペースをつくることもひとつ。
でも今回の使い手さんが望んでいることは
使いながらその動的な働く足に馴染み、長く深く付き合っていくこと。

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革は分厚いヌメ革だが
表面にプレスをかけず、動きのあるヌメ革をつかっている。
硬すぎないヌメ革は、佐藤革職人に特別に作ってもらった特製だ!

そのため、このヌメ革では、しっかり固めようとつり込んでも
どうしても形は崩れてしまう欠点がある。
でも立体縫製のおかげで指先のスペースをつくることができている。

前足部はモカシン、後足部はコモンのハイブリッドな靴。
モカシンはイミテーションではあるが、
革の加工ストレスで評価すれば、モカシンよりも柔軟性があるかもしれない。