棟梁の仕事を「見て盗む」つもりが反対に仕事を「見られて指導」ばかり。。
こんな有り難いことないんだけど、棟梁の手を助けるどころか、足を引っ張っている。
昔ならハンマー投げられて、どやされていただろうな。

２０年前を思い出す。
僕の師も生きていれば棟梁と同じ年くらい。
師がいてくれたら僕は今でも隣で仕事をしていたかもしれない。
いま棟梁と師が重なってみえる。

僕よりも３周くらい年上なのに
力もスピードも僕の方があるはずなのに
その仕事量に圧倒される。

道具の使い方、場所の作り方、木の扱い方、身体の使い方。
すべてが淀みなく流れるようにつながっている。
棟梁の周り、その空間、その建物、すべてが棟梁と融合しているようだ。
呪術廻戦でいえば、まさに「領域展開」！！

棟梁に「新築と改築」どっちが好きですか？と聞いたら
「改築のほうが楽しいよ。」とこたえてくれた。

「改築は新築のように計画通りにはいかない。
　仕事を進めていくといろんなギャップやトラブルがある。
　その都度その都度、頭を整理しなききゃならない。瞬間で対処しなきゃならない。
　それがおもしろい。
　常に納まりよく仕上げるにはどうしたら良いか、いつも考えて仕事しています。」

いつもすごく良い話を聞かせてくれて
いつも最後に「小林さんの靴の仕事も同じでしょ。」と僕への気遣いも欠かすことがない。
自己顕示欲のまったくなくて、
年上年下とか関係なく、きっと働く人、手仕事が大好きなんだなと思う。

また今回の現場を手伝ってくれている電気屋さんもすごく刺激的な方。
元鋏職人さんで、これまた僕の師に似たマッドエンジニア！
こんな美意識が高く、自分の仕事をしている電気屋さん初めて。
また時間をつくって紹介したい。