高知のI君の靴修理/1月4日

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高知のterzo tempoで靴づくり同好会をしていたのはもう7,8年前のことだ。
その時まだ大学生の男の子がその同好会に遊びにきていた。
とても落ち着いていて礼儀正しくて、雰囲気のある青年だった。
僕らが夢中で靴づくりをしているなか、
部屋の片隅で楽しそうに僕らを眺めている姿と
その後佐野君づてで受け取った
柔らかな手漉き紙に優しい文字が並んだ手紙が印象的だった。

彼は同好会には入らなかったが
靴をオーダーしてくれた。
デザインのこだわりがひとつだけあって
それは「直線を取り入れること」だった。
それ以外は僕にお任せ。

難しいお題だったけれど
I君らしい靴に仕上がったと思う。

お渡しは郵送で、履いているところを見ることができないまま5年以上経ってしまっていた。

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年末に修理のご依頼で
久しぶりにメールが届いた。
「だいぶ酷使してしまったから、傷んでいるところが多いと思います」
と書かれて、僕は安心した。よかった、ちゃんと使ってもらっている。と。

実際の靴は、言葉通り堅牢なソールもかなり摩耗していて
何年も歩いたであろうその跡が各所に確認することができた。
このように愛された靴を修理できることは幸せだ。

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そんな彼も結婚をし、今年お父さんになる。
ソールはそんなことからイメージして、
前回のトラディショナルタイルから、スポーティスタイルに変更した。
これから大切な荷を抱え歩く彼を少しでも支え応援する気持ちで。

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次に会うときは、terzo tempoで御祝いをしたい。

2022.1.4修理の靴