研ぐ技/10月23日

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先日出来た【CRAFT】を受け取りに来てくれました。
今までの革靴に比べて、とても履き心地がいいと喜んでくれましたが
左右の土踏まずの当たり方に違和感も感じるようでした。

左右で足の荷重のかけかたが違うことが影響していると思いますが
それも少し時間がかかるが、
日々履きこまれることで、SHOEBASEが足に寄り添ってくれるはず。
最後の履き心地をつくるのは歩くしかない。

快適な靴をつくることではなく、歩きたいと思う靴をつくることを最も意識しなきゃならない。

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夏の仮合わせの時に包丁の相談をしたら
それを覚えていてくれて、砥石を持ってきてくれて
その場で研いでその方法を惜しげもなく伝授してくださいました。
(実は宮大工さんなんです!)

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一朝一夕でできることではない、日頃の実践と研究の積み重ねの手技でした。
はじめて知った刃の特徴や研ぎ方もありましたが、
僕が22歳の時にたいへんお世話になった職業訓練校の水澤先生の指導を思い出させることが随所にありました。
いつの間にか我流で研ぐようになり、基礎、基本が大事であることを忘れていた。
先生は「この訓練校で教えられることは幼稚園レベルだ、しっかり仕事について精進しなさい」と、
覚えている限りでは在学中、卒業後含めて3回は口にしている。
その意味は、その言葉の通りで、まだまだ未熟者、卵から孵化もしていないぞ。だったけれど
20年経った今、また水澤先生の指導を必要としている。
基礎中の基礎。ここにいつでも帰ってこれるように、忘れないように
これからの仕事に取り組もうと思った。

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訓練校で自分に嘘を付かず納得できるまで取り組んだ者は
その後本当に素晴らしい仕事をしている。そんな同期達のことも思い出した。

研いでもらった裁革刀。
熟練の手技はめちゃくちゃカッコよかった。
同世代にこのような方がいることがとてもうれしかった。