五月女大介さんの靴/8月23日
今日は、竹職人五月女くんのCOMMONを修理しました。
このCOMMONは4年間ずっと五月女くんといっしょでした。
底も穴が開くほど擦り減って、アッパーの糸も摩耗でほつれてしまっていたけれど
その姿は、「その豊かな暮らしの中で彼とたくさん歩いてきたんだ。」と
誇らしく語りかけてくるようでした。
すこしゴツゴツとしたハードな銀面の山羊革の存在を
ここ数年間忘れていた。
4年前、五月女君に靴の依頼を受けた時に
たまたま手元にあって、使い道を迷っていたその革が
彼の足元に相応しいと直感したことを覚えている。
こうして手元に戻ってきて、
やっぱり彼のもとに行かせてよかったと、その時の直感が正しかったことを確信できた。
底は穴が開いた箇所の厚みを5ミリ増やし
素材も元のスポンジではなく、より粘り気の強いゴムに交換した。
縫製は2重の重ね縫いをして、
アッパーにもSHOEBASEにも天然油で磨いた。
いつもは工房の中で写真を撮るけれど
この靴は空の下で撮りたいと思った。
とてもいい表情をしている。
はやくご主人のもとへ帰りたいだろう。
五月女ご夫妻は、いまクラウドファンディングを活用し
水の杜を育むプロジェクトメンバーを募っています。
彼らはコツコツコツコツと自分の手で日々をつくってきた。
時折拝見するSNSの発信は多くの人の明日を生きる希望になっていたと思う。
道なき道を歩むことは難しい。
でも本当に難しいのは、その道となった道をどう活かすかだろう。
これまでの数年間の道は、お二人の道幅だったと思う。
彼らの道の先を見たくて、後ろに長い長い行列ができていた。
子供からお年寄りまでいっしょにあるく素敵な行列。
これからの道は、メンバーが足並み揃えて歩む幅のひろーい道。
その希望に満ちた足音が遠く離れた岡山にも響いてきそうだ。