踏みしめる心地よさ/8月12日 百掌往来メモ

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仮合わせ。

「左の健足の履き心地がとっても良いから、
右の患足の履き心地も欲張ってしまう(笑)」
この方のご感想を聞いて、
足の裏で大地をしっかりと踏みしめることの心地よさを改めて認識することができました。

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患足も同じようにしっかりと大地を踏みしめたい。
その欲を引き出すことができたことは、この仕事の大きな成果だったと思う。
患足は内反傾向が強く、脚長も2センチ短いため
常に背伸びしている状態で、指先や親指の付け根に過荷重のストレスが溜まってしまう。

この点ではできるかぎりローヒールの靴のほうが良いのだが
そのためには脚長差を解消するためにヒールだけでなく、前足部の厚底にする必要があり
その分、靴が重くなったり、踏み返しが悪くなってしまう。

ここのバランスが一番大事なところだ。

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お客様の漠然とした足に合った靴が欲しいという願いと
僕の直感による履き心地の良い靴をつくりたいという想いが
仮合わせでやっと対話することができる。
僕の、あなたの、足に合うとはなんなのか、
あなたの、僕の、履き心地が良いとはなんなのか、
僕らにとっての誂え靴とはなんなのか。
とても大切な仮合わせ。

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仕事を終えた仮靴。
お客様から「この靴もよかったので頂くことはできますか?」と聞かれ
今までは、(すぐではないけれど)結局使い道がなく捨てるしかない仮靴でしたが
そんな風に言ってもらえて、とても嬉しい気持ちでした。
仮靴も喜んでいるでしょう。