仮合わせ 左右差とCRAFT/5月30日

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左右で足の荷重が非対称な場合、
どの様に木型をつくるべきか、判断が難しい。
右足は内側へ寝るように土踏まずへと荷重が強くて
左足は内反して外側重心。

仮合わせでは左足の収まりは良いが
右足は靴の中で位置が定まらない。
少しゆとりがあることが原因のひとつだが
それは左足も同じ。
でも左は足が落ち着くのに、右は違和感がある。

右足は土踏まずを持ち上げるような木型の作り方をしているので
右足の立ち方そのままでは、当然反発してしまう。
自ら意識して変えていく必要がある。
左足の内反は無意識でうまく適応できたようだ。

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仮合わせ後の木型調整。
ゆとりがあった部分を削りよりウエスト部分を絞った。
位置が定まらい右足に、言い方が悪いが、強制的に固定するために。

すぐ慣れると思うのは、正直にいえば僕の希望だ。
慣れないかもしれない。なってほしいという願望。
と同時に、思い通りにいかなかった時のことを考えてばかりだ。
気持ちはいつも天秤のように揺らいでいる。

今回は、もう一度仮合わせをお願いさせてもらった。
今のままでは8割不安。ここが5割不安くらいにならないと
本番の製作にうつることなどできない。
でも無責任だとは思わない。5割のリスクを負う覚悟ももって仕事をしているから。
僕はオーダーメイドの仕事のそこに誇りをもっている。

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山梨県旧増穂町の日蓮宗昌福寺ご住職の靴。
右は10年。左は7年は経つ。
共に革のメンテナンスのために戻ってきた。

1年に1度は伺わせてもらっていた昌福寺さんにも
コロナの影響でもう2年近くお会いできていなかったため
ご連絡いただけた時はとても嬉しかった。

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ここ最近作っていないTABIブーツ。
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これもまた幻となった蝦夷鹿のサイドゴア。

この2足はもうつくることのできない
僕にって貴重な靴。
これからまだまだ活躍してもらいたい。
さぁ修理だ。