1グラムと0,1ミリ/5月16日 百掌往来メモ

生クリームが苦手な多聞。嫌いではなく、好きだけど多くは食べられない。
そのため、ショートケーキのカットサイズさえ完食できたことはありませんでした。
無理に食べなくてもいいけれど、
僕らも甘いケーキは、苦手というか美味しいとは思えなくて
美味しいケーキを食べたいという気持ちは僕らにもあって
ここ数年は恵子さんの手づくりショートケーキ。
かなり甘さも抑えて、多聞がどんなショートケーキなら食べられるのか
試行錯誤しながらつくってくれていました。
そのおかげで、すこしずつ僕らも多聞も美味しく食べられる小林家のケーキみたいのが
出来つつありました。
5月1日聞司の誕生日ショートケーキの砂糖は本には15グラムのところを10グラムにしたそうです。
それは甘すぎずとても美味しい生クリームでしたが、多聞はやはり完食できず。
それで今回、さらに1グラム減らして9グラムにしたところ、なんと多聞が美味しく完食できました。
1グラムの差は僕には正直わからなかったのですが、多聞の舌はその差を感じ取ったのでしょう。
ケーキを喜んで食べる子供の笑顔は、最高です。
些細な差でも、その境界線の場所で大きな意味を持つことがあります。
それはどんなことにでもあるように思う。
革の仕事もそう。0,1ミリの厚みが革と靴の相性を左右することもある。
しかも原皮の状態とか染色の具合、仕上げの仕方など様々な他の条件によって
本当は毎回その厚みを0,1ミリ単位で微調整することが望ましい。
でも実際はそこまでできておらず、毎回その仕上りを確認することなく、厚みを指定しているのが現状。
だからせめて、手元に届いた革を吟味して相応しい靴へと使う。靴ありきではなく。
たった0,1ミリで靴になるのか、ならないのかが決まることがある。
だからそんなムラはない革の方がつくりやすくて、負担は軽いけれど
それでもこの革を使う理由は、そのムラがあってもこの革の素晴らしさは群を抜いているから。
取り寄せる度に、まいど違う印象を見せる革で戸惑うことが多いけれど
靴に仕立てることにおいて、裏切られたことは一度もない。
本当に大事なところはまったくぶれていないのだ。
僕もこのようなものづくりを目指したい。つづく。



