靴が教えてくれる/3月9日

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型から外した直後のインソール。

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木型調整のCRAFTの製作。

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僕がこのCRAFTをつくったのだけど
CRAFTから靴づくりを教わっている感覚がある。
CRAFTだけではなく、
KIDもSCHOOLもCOMMONも
僕に靴づくりを教えてくれている。

自分がつくった靴から教わるのは
なんとも不思議な気分だ。
これらの靴の魅力を僕はまだまだ引き出し切れていないのだろう。

今一緒に展示会をさせてもらっているガラス作家の石川さんが
先日お話しさせてもらっている時にこんなことをおっしゃっていました。

「僕は網目硝子コップをもう数千個もきっと吹いてきたけれど
 まったく飽きない。これだけ同じ物をつくってもまだまだ楽しくて仕方がないんだよね。」と。
それに対して僕は「それはまだ精進できるということですか?」と聞いたら、
「そうだねぇ。」と一瞬考えて、はっきりと否定はせず、
「つくることがとても楽しいんだよ。」とまっすぐ目をみて笑顔で話してくれました。

工藝家は石川さんのような方のことを言うのだろうと思った。
自分を表現するのではなく、硝子を表現することに夢中になる人。
正直、石川さんの硝子からは石川さんはまったく見えない。

僕も最近一段と靴づくりが好きになった。
楽しくて仕方がない。
靴が先生。靴が語りかけてくるようになった。
手工藝の靴をつくる人に一歩近づいた気がした3月9日。