一歩前に/8月28日

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今までで一番つり込みがうまく出来た。

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3ミリ厚の堅牢なタンニン鞣し革のつり込みには
これまでとても苦労してきた。
正直言うと
「うまく出来た」と思えたつり込みはそんなに多くはない。

いままでは
まずしっかりつり込んだアッパーを釘で固定して、十分に癖づけが出来てから
後日釘を外しながら、合成ゴム系接着剤を塗ってアッパーと中底を接着していたが
その方法ではどんなに一度目の釘のみのつり込みでしっかり成型しても
2度目の接着剤で固定するつり込み工程で
一度目との狂いが生じることが多く、その歪みが木型通りの滑らかなラインに沿わないことの原因だった。

今回は初の試みだったが
つり込んだ革を釘で留めると同時に水性ボンドも塗る方法が
功を奏した。
この方法なら、一度目のつり込みの釘を外しても、
水性ボンドによってしっかり接着されているため、2度目のつり込みをする必要がなくなる。
つまり狂うことはない。
2度目は1度目で決まったつり込みの最後の仕上をする程度の工程となる。

どうしていままでこうしてこなかったのだろうと
不思議に思うほど、すぐにでも実行できた簡単な工夫(工夫と呼べるのか?)だった。

つり込みが上手くなったことが
今回の方法を思い付いたひとつの要因であることは間違いないだろう。
この一発仕上げは、その名の通り、やり直しが出来ないからだ。
一回で手際よく3ミリの堅牢な革をつり込める自信があったからこそできた。

歪みがないことは
その後の作業にも良い影響を与える。
美しい靴ができる。

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